体調がでやすい口周りのニキビ
口周りにできるニキビは、皮脂汚れが固まった白ニキビがプツプツとできたりする軽い症状から始まり、ひどくなると赤く炎症を起こして化膿し、しこりができて、触ると痛みがでるケースもあります。
悪化したまま放置すると、赤黒くブツブツと膨らんだニキビ跡(痕)が残ることもあるので注意が必要です。
口周りのニキビは、頬やおでこ(額)などと一緒に顔全体にできるケースと、口周りに集中してできるケースがあります。また、普段はニキビができないのに、体調が思わしくない時にできやすいという特徴があります。
疲労やストレスのほか、特に風邪をひいて熱を出し、抵抗力が落ちた時や胃腸の調子が悪いときにできやすくなります。暴飲暴食を繰り返した時や便秘が続いている時、下痢気味など腸内環境が崩れているときにもできやすくなります。
腸内環境が悪化すると老廃物が溜まって毒素が発生し、それが血液を回って全身へと回っていきます。腸内環境が悪いと体のだるさや肩こり、頭痛など様々な体調不良が起こるのですが、その1つとしてニキビもあり、特に口周りにできやすい傾向があるのです。
体の冷えや抗生物質の影響も
口周りのニキビは男性ホルモンの量が優勢になった場合にも起こりやすいほか、この部分は皮脂腺が多いことから、生まれつき皮脂の分泌量が多い方もなりやすいです。
ホルモンバランスも大きく影響するため、女性の場合は生理痛が重い、生理不順や子宮内膜症など婦人科系の病気を抱えている方、冷え性を抱えていて血流が滞っている方にも多く見られるニキビです。
下半身が冷えると子宮や卵巣も冷え、ホルモンバランスを崩しやすくなるので注意しましょう。
中には何らかの体調不良から抗生物質を長期間にわたって飲み続けていたことから、腸内細菌のバランスが崩れ、胃腸の働きが低下して皮膚細胞の免疫力や抵抗力が低下し、口周りのニキビを作るケースもあります。頭痛薬や生理痛の薬、痛み止めなどを手放せないといった方は、胃が荒れてしまい口周りのニキビを招きやすいので気をつけてください。
体の冷えをとる工夫
口周りのニキビの原因は様々あるものの、体の冷えからくるホルモンバランスの崩れや胃腸の機能低下によって起きている場合には、まずは体の冷えを取ることから始めましょう。
体の冷えや胃腸の機能低下は、長年の間違った生活習慣や食習慣などによって起こるものです。そのため一朝一夕に治せるものではありませんが、生活を改め、体を温める生活をすることで、次第に改善されていくことが期待できます。
温かい飲み物や食材を摂る
冷たい飲み物や食べ物、コーヒーや紅茶などの体を冷やす飲み物は避け、白湯や味噌汁、生姜など温まる食材を使った食べ物を積極的に摂るようにしましょう。
刺激物はNG
カレーなどに使われているスパイスや唐辛子などは体を温める効果がありますが、香辛料などの刺激はニキビにはNGです。
そのほか糖分や脂肪分の摂り過ぎ、塩分の摂り過ぎもよくありません。
刺激を与え過ぎないマイルドな食材で、体質改善を図っていきましょう。体が温まってくると胃腸の働きも次第にアップして、生理不順などの婦人病も軽くなっていくはずです。それに従って、ニキビも次第に治まっていくでしょう。
保湿はしっかり
ニキビに悩む方は、肌が脂ぎることを気にして保湿を怠る傾向にあります。
ですが乾燥した肌はバリア機能が弱まり、アクネ菌の思うツボとなってしまいます。洗顔後は保湿をしっかりと行うことを心がけなければなりません。
ベタベタする乳液を使用することに抵抗がある方は多いと思いますが、乾燥を防ぐために最後の保湿が必要です。お肌に化粧水で潤いを与えた上で、乳液でお肌の表面をカバーして潤いを閉じ込めましょう。
マスクの使用が口周りに出来るニキビの原因になることがあります。仕事中、マスクの着用が必要な人はなるべくファンデーションをぬらずにいましょう。ファンデーションの油分にマスクの内側の蒸れが加わるとニキビができやすくなります。
スキンケアアドバイザー
石井クリニック院長 今野 みどり
医学博士 / 日本形成外科学会専門医 / 皮膚腫瘍外科指導専門医
<略歴>
1989年 川崎医科大学卒業
1991年 東京慈恵会医科大学 形成外科助手
1999年 山形県立日本海病院 形成外科医長
2001年 M&M スキンケアクリニック(神田神保町)副院長
2014年 石井クリニック 院長
<所属学会>
日本形成外科学会/日本美容外科学会/日本美容皮膚科学会/日本抗加齢医学会